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コラム「マダムの部屋」
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マダムの部屋
ちょっとちらかってるけど、気にしないでゆっくりしてって!

マダムの部屋-9-
「Tシャツ買ってください」

 あらあらもうすぐ10月だ(原稿をいただいた時は、未だ9月でした)。
 今季は来年の2月15,16日に長野スパイラルにて、日本初のスケルトン世界選手権が行われるという大切な大切なシーズンでもある。オリンピックシーズンが終わったばかりだと、何かと盛り上がりに欠ける感は否めない。
 最も深刻な悩みは「強化費の削減」というやつだ。五輪前のシーズンなら、JOCからも多めに強化費が出されるそうだが、五輪後は逆。日本の冬季競技の花形種目でもあるスケートですら、W杯への出場を削ったというニュースが出ていた。私たちスケルトンも同様に、資金繰りが厳しい。
 知られているようで知られていないのが、スポーツのお金の出所。私自身も自分でやってみて、真剣になればなるほど、お金がかかるということを実感している。
 というわけで、スケルトン日本チーム選手が中心となって、「2003世界選手権を一緒に応援してください!!」という呼びかけで、オリジナルTシャツを制作、最近好評発売中である。アディダス製の白。胸には「Nippon skeleton」とプリントされている。毛筆のニッポンは、東條香舜選手のお母様の肉筆。ソルトレークオリンピックの時に、越、稲田選手と私のそりに貼らせていただいた。2500円で、M、L、Oの3サイズ展開だ。
 手売りを基本にしている。だから、気持ちがすごく伝わってくる。何も言わなくても、「買うよ」と言ってくれる人、「こうやってみたら」とアドバイスをくださる人、一緒に売ってくれる人…、本当に感謝の気持ちでいっぱいになる。
 それと共に、自分自身にさらに深く突き付けられる言葉は、「何を世の中に還元できるのか」というところである。もちろん、当然のことながら、好きだからスポーツに打ち込む、という純粋な気持ちや、一生懸命取り組む姿を見せて人に勇気を与えるということは外せないと思うけれど、選手である以上、もっともっとスポーツの社会的役割ってものを、真摯に考えるべきだと思う。スポーツの土壌がきっちりしている欧米諸国と比較して、「お金がないー!」と嘆いているのはナンセンスだろうな。
 普通の社会人生活が長い私がスポーツを始めて感動したことは、人間の体の奥深さだ。運動によって、眠っていた感覚が呼び覚まされた。例えば、記事の発想が体から出てくるようになったり、呼吸が促されて健康になって、毎日が楽しくなった。人間にとって一番身近なのに一番知らないのは、自分の体なのではないか、と思う。世の中が便利になっている今だから特にこれを伝えていくことには大きな意味があるのではないかと感じている。アスリートでいられるうちに、少しずつでもこんなことを伝えて行けたらなあと強く思う今日この頃だ。
ともあれ2003年2月、是非是非、スパイラルにスケルトンを見に来て下さい!Tシャツを着て…っていうのはちょっと寒すぎるか。

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