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マダムの部屋
ちょっとちらかってるけど、気にしないでゆっくりしてって!

マダムの部屋-17-
「ほとけの心」

リレハンメルから数えれば、海外も1ヶ月以上になる。
つい最近まで調子よかったんだけど、いよいよ食事に疲れてきて、肉食べたくない病が出始めている。 ちょっとだけ持参したみそ汁で、リフレッシュしながら、動かない日は少食にして、 胃をクリアにするようにしている。

ここ、レークプラシッドでは、US Olympic Trainning Center というアスリートのための宿泊施設 (立派な合宿所のようなところ)に滞在するのだが、食事はカフェテリア形式になっており、 基本的に自分の好みの時間に、好きな物を食べることができる。サラダバーには豆腐もある。 朝はフルーツも豊富。昼、夜には必ず、数種類のスープ、肉、魚、パスタ、デザートが並ぶ。 もちろん、飲み物も何でもある。ホテルに滞在するときは、外食するケースも出てくるから、 結構難しいのだが、ここは最も条件がよいと言える。

それでも、私はgive up直前なのだ・・・食事に関してはここ数年、努力を重ねているのだが、 体質的な問題もどうもあるらしい。

基本的に食べっぷりの良い東條君に、
「どうしたら内臓強くなれるの。なんで何食べても平気なの??」
と、率直に質問をぶつけてみた。
「そうですねえ。自分の場合は寺に育ったせいか、(生きている物をいただくという) 慈しみの気持ちを常に持って、食事しているってことは一つの理由にあると思います」

ご存知の方も多いかと思いますが、東條君は善光寺の宿坊「常行院」の息子さんなのである。 近い将来、僧侶になられるご予定らしい。(もちろんスケルトンしながら)
植物でも動物でも、命をいただく「ありがとう」という心を持って、食事に臨むことはとても大切だと、 頭では分かっている。「いただきます」「ごちそうさまでした」と形式的にはやっていたけど、 東條君のお話を聞いて、「御心」は身体に染みついてはいないんだなと、反省した次第です。

話は少し変わって・・・

結局、レークは、ストーム(暴風雨)の影響で、コースがぐちゃぐちゃになってしまったため、 実質ノートレーニングで、カルガリーに戻ることになったのだが、遠征を始めて初めて、こ んなにゆとりが持てる時間を過ごせたように思っている。 時間的なゆとりだけでなく、精神的にもかなり休まった。理由はいろいろあるけれど。

そんなわけで、今日(11月20日)も午前中コースインスペクションに3人で出かけた。
越さんいわく、レークの人は親切な人が多くて、困ったら親身に助けてくれるという。 コースは滑れないけど、「中に入って歩いていいよ」と言ってくれたという。 コースの外を歩きながら見るのと、実際、中に入って見るのとでは、全く違う。 氷の削り方だとか、カーブの様相とかがはっきり見えるからだ。 中に入りたいのは山々なのだが、入ると氷が汚くなる。 靴についている砂が氷に付着すると、自分たちが滑走する時になって、 ランナーに傷が着いたりするというデメリットもある。
氷もいっそ、ぐちゃぐちゃだし、やり直すんだし、いいかな、と思って足を踏み入れようかしらと思ったが、 越さんに聞くと、
「滑るし、昨日もランナー傷ついたしね」
と話していたので、アイゼンも持っていなかったので断念した。

自分のことだけ、考えていてはだめだなあ、とまた、反省させられた。
ストームは結構ひどかったようで、道路脇の木も倒れて、根こそぎやられているところが見られた。
コースもひどく荒れ果てていて、作業員の人たち20人近く出てきて整備していた。 来週は男子ボブスレーのW杯、翌週の12月6日はスケルトンだから、コース作業員の人も大変だ。
「皆さんどうもありがとうございます。よろしくお願いします」
と、英語では何て言ってよいか、わからないので、心で思いながら、コースを後にいたしました。
(2003.11.21)


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